仙台文学館

ことばの
杜を
あるこう

2020.10.26(月)
病のごと 思郷のこころ湧く日なり 目にあをぞらの煙かなしも/石川啄木

館長あいさつ

仙台文学館にようこそ。

仙台文学館は、仙台市中心部からやや北に位置し、台原森林公園に隣接しています。天気の好い日は、公園を抜けて文学館へと通じる雑木林の小道は散策に好適で、私のお気に入りの散歩道の一つです。

海あり、山あり、川あり、と多彩な自然環境に恵まれた仙台の地は、土井晩翠、島崎藤村、真山青果、魯迅、岩野泡鳴、原阿佐緒ら多くの文学者たちの作品に影響を与えてきました。

平成十一年に、劇作家・小説家の井上ひさしを初代館長として仙台文学館が開館したのとほぼ時を同じくして、伊集院静、熊谷達也、伊坂幸太郎など、現代を代表する作家たちが集う街ともなっています。さらに、二代館長の小池光をはじめ、高野ムツオ、佐藤通雅、雫石隆子らの詩歌での活躍も近年めざましいものがあります。東日本大震災を経て、日常の底に〝あの日〟を沈めた文学表現の模索が、それぞれの方法で粘り強く押し進められているのを感じます。

文学は総合芸術であり、音楽や美術、演劇、映画など異なる表現分野との相互の関わりの上に成り立っているものです。漫画家のいがらしみきおの展示コーナーなど、そうした広い意味での文学の姿を提示するとともに、文学愛好者から文学創作を目指す者、言葉に魅せられたあらゆる年代の人々が集い、語り合える場所となることを願っています。

仙台文学館 館長
佐伯一麦