仙台文学館

ことばの
杜を
あるこう

2017.2.26(日)
窓をあければ何があるのであらう くもりガラスに夕やけが映つてゐる/尾形亀之助 恋愛後記

館長あいさつ

koike仙台文学館に、ようこそおいでくださいました

仙台は土井晩翠、島崎藤村、魯迅をはじめとする多くの近代文学の担い手が生まれ、育ち、あるいは生涯の重要な時期に通過した場所であり、独特の文学的風土を持っています。その全体像を俯瞰するとき、多彩さと豊かさ、故郷に対する思いのふかさをあらためて実感することができます。そしてまた近年では、若くすぐれた、現代を代表するような文学者たちがここを拠点としさまざまな活動をみせています。これはかつての仙台にはなかった現象といえます。

当館の初代館長である、劇作家・小説家井上ひさしの豊饒な作品世界が仙台・東北を根底にもつのであるのはいうまでもありません。佐伯一麦をはじめ次世代の有力な作家たちがこれほどならぶ都市もそう多くはありません。そしてその背景には島崎藤村、土井晩翠以来の文学の、詩歌の伝統の蓄積があります。仙台文学館では、これまで展開してきた、こうした仙台の歴史的水脈と今日の文学都市仙台の息吹の両方を意識した様々な展示や講座などを、これからも継続していきたいと考えています。

そして、これからの文学館に求められるもう一つの大きな役割は、人間が生きていくために必要なものとしての「文学・芸術」を考えるような場所であることだと思います。東日本大震災という大きな出来事を経て、文学や言葉の力について、その無力さも含めて、いろいろな意味で考える動きが生まれてきました。

人間の生き方に直結する切実な言葉をどう生み出すか、そうした言葉に触れるためにはどうしたらいいのか、そのことをそれぞれにふかく意識できるような場所にしていきたいと思っています。

仙台文学館 館長
小池光