仙台文学館

ことばの
杜を
あるこう

2024.4.17(水)
窓をあければ何があるのであらう くもりガラスに夕やけが映つてゐる/尾形亀之助 恋愛後記

ドラマ・ウィズ・ミュージック~井上ひさしの音楽世界

2016inoue-dorama001井上ひさし資料特集展VOL.6

放送作家としてラジオやテレビ番組を手がけていた頃から、井上ひさしは唄や音楽を作品にふんだんに取り入れていました。山元護久と共作したNHK放送の人形劇『ひょっこりひょうたん島』では、作曲家・宇野誠一郎の音楽との絶妙な掛け合いが、全国の子どもたちを楽しませました。また、『ムーミン』や『ひみつのアッコちゃん』といったアニメーション主題歌の作詞も手がけました。そして、劇作家としてのデビュー作と言われる『日本人のへそ』は、ミュージカル仕立ての趣向が凝らされた作品となっています。
劇作家として活躍するようになってからの井上は、宇野誠一郎とコンビを組み、台詞と唄が、言葉と音楽が、一つに溶け合って形作られる演劇を作り続けます。しかしそこには、ブロードウェイ・ミュージカルに憧れながらも、日本ではブロードウェイのような作品を作ることはできないという現実との葛藤がありました。その葛藤の中から、井上はやがて、「ドラマ・ウィズ・ミュージック」と呼ぶようになる独自のスタイルを見つけていくことになります。
本展では、井上ひさしの生涯を「音楽」の視点から辿り、幼少時代の音楽体験から自身の音楽劇のスタイルを作りあげていくまでの過程に焦点を当てます。そのなかで、戦前の流行歌を劇中歌として全面的に使用した、『きらめく星座』『花よりタンゴ』といった中期作品の創作資料や、既存の楽曲に新たな詩をつけて劇中歌を作るという手法で書かれた、『夢の裂け目』『太鼓たたいて笛ふいて』『ロマンス』といった後期作品の楽譜資料、さらに音楽に関するエッセイや参考にしていた書籍資料などを紹介します。

会期 12月3日(土)~4月9日(日)

観覧料  一般570円 高校生230円 小中学生110円
※30名以上の団体の場合、割引
開館時間 9:00~17:00(ご入場は、16:30まで)
休館日 月曜日(休日の場合は開館)、休日の翌日、第4木曜日(12月除く)、12月28日から1月4日、1月10日、3月21日

主催)仙台文学館
協力)井上事務所 こまつ座 遅筆堂文庫

 

■展示関連イベント

1.トークイベント「ひさしさんと音楽」

中学校時代から鍛えたハーモニカの腕前、イタリア旅行での音楽に関するエピソード、音楽劇創作時のこぼれ話……
音楽に対する井上ひさしの深い愛と造詣、そして井上家の日々の生活に音楽がどのように息づいていたかなど、最も身近に過ごしたユリ夫人が語ります。

出演: 井上ユリ(井上ひさし夫人・料理教師)/ 聞き手:当館学芸員

日時: 3月5日(日)13:30~14:30
会場: 仙台文学館 講習室
定員: 100名(先着)※展示観覧券の半券をご提示ください。

当初3月5日に予定しておりました、トークイベント「思い出を語る 井上ひさしと宇野誠一郎」は、出演者の体調不良により中止とさせていただきました。お楽しみにされていた方々には本当に申し訳ございませんが、ご了承のほどお願い申し上げます。

 

2.展示室ミニコンサート「井上ひさしが愛した音楽たち」

井上ひさしが幼少より親しんだ音楽、劇中で使用した音楽、そして最も好んだクルト・ヴァイルやガーシュインの楽曲をピアノ演奏と歌でお楽しみいただきます。

出演:
榊原光裕(音楽家・ピアニスト)
萩原里香(歌手)

日時: 2月12日(日)、2月26日(日) いずれも13:30~14:40
会場: 仙台文学館企画展示室
定員: 40名(先着順) ※入場には企画展観覧券が必要です

 

3.ミニ合唱コンサート「井上ひさしが作詞した音楽たち」

指揮者・伴奏者・ピアニストとして活動され、仙台第一高等学校時代から井上ひさしの友人でもあった大泉勉氏をお迎えし、井上が作詞した校歌などの楽曲を合唱でお楽しみいただきます。また曲間には、井上との思い出についてお話しいただきます。

指揮: 大泉勉(宮城教育大学名誉教授)
合唱: いずみオッチェンコール
日時: 3月19日(日)13:30~14:30
会場: 仙台文学館1階エントランスホール
定員: 50名(先着) ※入場無料

1~3の申込方法
電話・FAXのいずれかで仙台文学館へ(FAXの場合は、イベント名・日時・名前・電話番号を明記してください)。定員になり次第受付終了します。

 

4.読書会「井上ひさし作品について語ろう!」

事前に指定のテキストを読んで、それぞれの感想や疑問、意見を自由に述べ合う読書会です。自分だけではわからなかった作品の内容や表現も、いろいろな感想や意見を聞く中で見えてくるかもしれません。お茶を飲みながら、気軽に語り合いましょう。

日時: 3月26日(日)13:30~
会場: 仙台文学館講習室 定員20名
テキスト:『十二人の手紙』(中公文庫)
参加費: 500円(茶菓代)
4の申込方法: 往復はがきに住所・お名前・お電話番号(あればFAXも)・イベント名記入の上、仙台文学館へ(1枚につき1名の申込み)。締切:2月24日(金)(必着)

 

5.学芸員による展示解説

貴重な肉筆資料の解説とともに、井上ひさし作品の魅力について、学芸員が解説します。
①12月18日(日)11:00~ ②1月21日(土)13:30~
④2月18日(土)13:30~ ④3月12日(日)13:30~
申込み不要。直接会場へ。 ※企画展観覧券が必要です。

 

連絡先:
仙台文学館 〒981-0902 仙台市青葉区北根2-7-1
℡022-271-3020 FAX022-271-3044